飲食ビジネスで最重要 FLコントロール
FLコストとは、F=food(原価、材料費)、L=Labor(人件費)を足した費用のことを指します。
FL比率とは、FLコストの合計を売上高で割ったものです。
55%程度が一般的な目標値となります。
飲食ビジネスにおいて、利益を大きく左右するコストがこの「FLコスト」。
この最大のコストをコントロールをするのが、現場スタッフなのです。
ゆえに、現場スタッフが「FLコストコントロール」の知見が浅ければ浅い程、コントロールが難しくなります。
今回は、弊社が社員研修をする際、「計数管理講義」の「食材原価講義」にてお教えしている「ロス分析」について解説していきます。
原価の知識を正しく知ろう
飲食ビジネスにおける「原価」の概念は、大きく分けて2つ存在します。
「理論原価」と「実原価」です。
「理論原価」とは、お客様にレシピ通りに販売した商品の原価のことをいいます。しかし、実際には納品の野菜がレシピ想定より小さかったとか、目分量で調理する為、レシピより多く入れていたなど、現場では理論通りにいかない事がほとんどです。
「実原価」とは、期首・期末の棚卸をし、月間の仕入れ額から算出して出した、原価を指します。
※実原価=期首棚卸額+仕入額-期末棚卸額
「理論原価」と「実原価」には、必ず差異が生まれます。この差異の事を
「原価の乖離」と言います。
この乖離が大きければ大きい程、レシピの不備もしくは、現場での問題などが多いと思っていいでしょう。2%以上は黄色信号です。
乖離を生む「ロス」を分解しよう
食材ロスと言っても、全12つのカテゴリーに分ける事が出来ます。
フードコストのコントロール施策は、必ず12のカテゴリーいずれかの課題解決の為の行動となるわけです。
従業員が、これらを理解していないとボトルネックすら不明になりやすい為、
しっかり指導する事が大切です。
僅かな原価対策が大きな利益になる
樽生ビールの原価額はご存じでしょうか?
メーカーや銘柄により異なりますが、一般的なビールなら20リットル9,000円~10,000円程度だと思います。
ジョッキの容量が360mlだとすると、ビール液体量は約80%程度です。
この場合だと、ジョッキ1杯の原価額は130円(1ml:0.45円)~145円(1ml:0.5円)程度です。
では、ビールサーバーの回栓・閉栓作業でどの位のビールをロスするでしょうか?
1本のラインで、1日ジョッキ約1.5杯をロスしています。値段にして200円程度ですね。ラインが複数あれば、ロス額はドンドン増えます。
さて、このビール洗浄ロスですが、正しいやり方をしての数値となります。
経験上、多くのアルバイトスタッフが間違えたやり方をしていますので、実際のロス額はもっと高いです。
非常に目立つ間違えた開栓方法は、明け作業の開栓作業時、ビールの液体(コックを手前に引く)を出すことで開栓している事です。
ジョッキ半分ぐらいの液体を捨てていますね。
正しくは、コック押して泡を出し、泡が出れば一瞬液体を出して終了です。
この作業の違いだけで、1ライン50円~100円のコストが変わります。
2ラインあるお店なら、毎日100円~200円変わるので、月間3,000円~6,000円の原価額が変わります。年間なら36,000円~70,000円変わるのです。
そして、10店舗経営されている企業なら、年間で360,000円~840,000円もの差が生まれます。
ビール一つ取っても、これだけの金額が年間で変わるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
アルバイトも含めた、従業員に正しく重要性を説き、正しい知識を教え実行して頂く事がとても大切です。
原価コントロール次第では、年間アルバイト採用予算自体を生み出す事も可能なのです。
はじめまして。Connect Innovation代表取締役の稲生です。飲食企業のSVなどを経て脱サラ。採用コンサルティング・社内研修講師・面接代行・スカウトメール代行・求人広告代理店・採用ホームページ制作・求人動画制作など採用・育成・定着にまつわる会社を経営しています。また、コロナ問題を変化のチャンスと新たに「ECショップ」の開店にも取り組んでいます。飲食時代に痛感しましたが、小さな人材課題を放置すると、会社内でいづれ大きな課題に発展するものです。また、経営戦略を構築するには必ず、人材採用育成戦略を構築しなければいけないとも実感しました。このサイトでは、企業側の視点・求職者の視点・採用担当者の視点・ワーカーさんの視点・求人広告営業の視点と様々な視点から人材課題にアプローチしていきます。少しでも、皆さんのお役に立てれば幸いです。
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